仮想化技術について

2007/2/27に赤坂プリンスホテルで行われたVMWare Virtualization Fair 2007に参加してきました。
なかなか濃い内容で、仮想化技術そのものについて、VMWareの製品「Infrastucture3」等についてもだいぶ理解することができました。
以下、概略。

○仮想化について
今までの主流としてサーバのリース切れに伴うリプレース時にはハード、ソフトの両方をリプレースしていた。
しかしソフトのリプレースのためには新しい環境で既存のアプリケーションが動作するかの検証が必要だったり、新しいOS、ソフトウェアのためにアプリケーションの改修が必要になる場合もある。
この検証、改修のコストを削減するために、ハードだけリプレースを行い、OSを含めたアプリケーションは仮想化を行いその仮想化されたイメージを新しいハードで動作させるという動向がある。

OSが仮想化されるとそのイメージは一つのハード上で複数の動作することができる。このことでリプレース前には100台あったハードがリプレース後には10台以下になったという例もある。
物理ハードが少なくなるということは物理スペースの削減、省エネ効果がある。

○物理ハードのリソースプール化
ハードそれぞれに含まれるメモリ、CPU、HDDをリソースプールという形で管理することができる。
仮想イメージが必要なリソースを実際の実行環境に依存することなく配置することができる。
月初は月次処理が動いている仮想サーバがAの物理マシン上で動作しており、それが過ぎると別の仮想サーバがAという物理サーバの上で動作するというように処理の負荷、重要度に応じてリソースを配分することができる。

シンクライアントのサーバとして
クライアントそのものも仮想環境で動作させ、クライアントの操作を行う場合はリモートディスクトップ(RDT)で接続する。
クライアントのハードとしてはリモートディスクトップ専用のハードを使う場合とWindows上のリモートディスクトップを使う場合がある。
使う側がヘルプディスクのように同じ環境で使われことがメインの場合は一つの仮想イメージから複数の動作環境を生成する。
OSの更新作業もその一つのイメージに対して行えばよくメンテナンスも容易。
技術者や専門職の方が使われる場合にはぞれぞれに個別の仮想イメージを用意する。

○クライアントを仮想化するメリット
実行環境がサーバに集約されるためメンテナンス対象がサーバのみとなる。
クライアントはなんでもよく、専用のシンクライアント、もしくはリモートディスクトップが動作するWindowsであればよい。ハードの要件には依存しない。
CPU、グラフィックカードにより挙動が異なるということがなくなる。クライアントが故障してもハードを交換すればよく復旧が容易になる。

シンクライアントのデメリット
リモートディスクトップの仕様的な問題も含まれるが、マルチディスプレイに対応していない。USB接続されたモジュールに対応していない等がある。
が、これらの問題も近いうちに解消されるとしている。

[ソフトウェアについて]
VMWare Infrastucture3とはなんですか?
ESX Serverを中心に構成された製品。ESXServerは仮想環境を実行するアプリケーションだかホストOSを必要としない。
ハードに直接インストールするため、ホストOSが必要なVMwareServerとは異なる。ホストOSの障害に影響されないため、現ストOSの動作の安定性が増し、ハードのリソースを効率よくゲストOSに割り当てることができる。

VMWare Serverと ESX Serverの違い
ホストOSを必要とする/しない
サポートない(メールサポートはある)/サポートがある
ゲストOS間でのネットワーク構成で仮想スイッチを構成できない/構成できる

仮想スイッチを構成できるということは、ゲストOS間だけのネットワークを構築したりVLANのようなネットワーク構成を構築することができる。またどの物理NICを使用するかという設定もできるため、効率のよいネットワーク環境を構築することができる。

○Workstation6.0について
Workstation5.5からの違いは以下の通り。
・物理マシンの最大使用メモリの制限がなくなる。ゲストOSは8Gまで。
・WindowsVistaにホストもゲストも対応。
・マルチモニターをサポートする。
・バーチャルデバッカが使える。外からVisualStudion等でアタッチできる。
・バックグラウンドでの動作が可能。
・ゲストOSがLinuxでもドラックアンドドロップが可能になった。

VMWare Infrastructure3でのバックアップ
VMWareの仮想イメージを取る場合には何通りかある。
・ゲストOSが停止しているときに仮想イメージのファイルをバックアップする
・ゲストOSのスナップショットを取って、そのスナップショットをバックアップする
・ゲストOS上にバックアップ用のエージェント、もしくはアプリケーションをインストールし、そこからバックアップを行う。(仮想でないOSに近い)
・ゲストOS上にバックアップ用のエージェント、もしくはアプリケーションをインストールし、必要なアプリケーションのバックアップ、停止を行いその後スナップショットを取る。

ゲストOS上のデータベースをはじめとしたアプリケーションのデータの保障はスナップショットではできない。保障を得るにはエージェント等でアプリケーション側のバックアップがとれる状態にモードを変更

参考資料:Symantec Veritas NetBackupによるVMwareのバックアップ

VMWare Infrastructure3のバックアップ
サードベンダーからいくつかのバックアップソフトがリリースされている。
Symantec Veritas NetBackup・・・仮想ファイルをバックアップする。ただし、直接スナップショットに対するコントロールはできない。
・日本CA BrightStor ARCserve Backup・・・仮想ファイルをバックアップする。スナップショットを取る指示も出せる。
・Networld esxRanger・・・仮想ファイルをバックアップする。スナップショットを取る指示も出せる。
・FalconStar IPStor CDP・・・ゲストOSにエージェントを仕込むもの。データベースも含めて仮想環境のバックアップができる。Informixに対応したエージェントもあるとのことだが。それなりの価格。


○VMWareVMotionとは
VMotionとはある物理マシンで動作しているゲストOSを停止せずに別の物理マシンに移す機能。
物理マシンのメンテナンスや障害が発生したときに有効。
またリソースの最適化にも使える。

VMWare HA
ある物理サーバ上のESX Serverが落ちたことを検知すると別の物理サーバへと移し、再起動させるもの。
ゲストOSの障害を感知するものではなく、あくまでESXServerの「落ちた」という障害だけを感知するもの。
ゲストOSの障害、物理サーバのメモリ、ハードディスクの不安定を検知するのは別のソフトウェアになる。